健康増進法とは?
健康増進法とは、第三次国民健康づくり対策として2000年に厚生労働省が行った一連の運動施策「健康日本21」を具体的に実行する法律です。本来は日本国民の健康を増進するための法律で、生涯健康に務めることを推進するものです。
その中に「誇大表示の禁止」があります。これは、健康に影響を及ぼす食品の表記を誇大し、虚偽の情報による消費者の誤解から商品を購入させることを規制する法律です。
そのほかの健康増進法の内容については、以下を参考にしてください。
健康増進法について
健康増進法はアフィリエイターも規制対象
健康増進法の規制対象には、以下のように記されています。
●規制の対象となる者
景品表示法において規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者であるが、健康増進法は「何人も」虚偽誇大表示をしてはならないと定めているため、食品の販売業者等に限定されることなく「食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする者」であれば、規制の対象となり得る。
引用元:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について・要約版
これは、たとえアフィリエイターであっても、食品を販売するものは「虚偽誇大広告」の表示をしてはならないということです。
アフィリエイトの商材に食品または、健康に影響するサプリメントを取り扱う場合は、責任を持ち、誤解を生まないような正しい表現を徹底しなければなりません。
インターネットコンテンツにも正確性が必要
健康増進法により、インターネットに表示されるコンテンツにも正確性が必要です。食品に関する情報を正確に伝えることはもちろんのこと、一定のキーワードにまつわる食品に関しても十分に注意してコンテンツを作成する必要があります。
インターネットコンテンツを消費者庁が監視
消費者庁は定期的にインターネットコンテンツを監視し、健康増進法に触れているものについては「表示の適正化」を要請しています。
平成31年の4月から令和元年の6月までの期間に65事業者72商品に対して、広告表示の改善を要請したとも発表しており、法を犯しているサイトには改善を依頼。改善されない場合は、サイトの閉鎖も行なっています。
引用元・インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について
監視されているキーワード
消費者庁はロボット型のキーワード検索ツールを用いて、以下のキーワードに対して、虚偽誇大表示がされていないかを監視しています。
監査期間 | 監査項目 |
平成31年4月から令和元年の6月まで |
- 「がん」、「糖尿病」、「認知症」等の疾病の治療又 は予防を目的とする効果があるかのような表現
- 「アレルギー」、「ストレス」等の身体の組織機能 の一般的増強、増進を主たる目的とする効果があるかのような表現
- 「ダイエット」、「美肌」等の身体を美化し、魅力 を増し、容ぼうを変える効果があるかのような表現等
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引用元:インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について
GoogleによるYMYLアップデートの影響
健康増進法はGoogleのYMYLアップデートにも影響を及ぼしています。
YMYLとは、『Your Money, Your Life』の略で、お金と人生(医療・健康等)に関わる業界のことを示します。
健康アップデートとも呼ばれるYMYLアップデートは、YMYLに関するコンテンツ及び、正確性のないコンテンツに対して、Googleの検索結果における評価を下げるようにしたというものです。
当時は、コンテンツを量産することがSEO対策やWeb集客に有効とされ、有名な大手情報メディアに『肩こりの原因は幽霊』などといった記事が掲載されるほど、Web上に信頼性が低い情報が溢れていました。
Googleの検索結果で上位になっているサイトの信頼性が揺らげば、Google検索サービス自体の信頼性にも関わりユーザーの減少を招きかねません。その対策としてYMYLアップデートが実施されました。
その結果、その分野のスペシャリストでない人が提供しているコンテンツや正確な情報と判断できないコンテンツを掲載しているサイトのランキングは大幅に下落。Googleのアップデートの中でも歴史に残るアルゴリズムの更新となりました。
GoogleはYMYLアップデート以降、特に医療・健康に関するキーワードの検索結果に60%以上の影響をもたらしたと発表しています。
参考:
Googleウェブマスター向け公式ブログ(医療や健康に関連する検索結果の改善について )
健康増進法で影響するリスク
健康増進法は単にアフィリエイターに対して、コンテンツの改善や表示の変更を要請するだけではありません。アフィリエイトの商材を出稿している広告主や、広告を管理しているASPにもリスクが飛び火する可能性があります。
広告主側のリスク
アフィリエイターが健康増進法に触れるコンテンツを作成した場合、広告主やASP側にもいくつかのリスクが生じます。
- 販売停止
- 刑事裁判(場合により)
- 罰金・慰謝料
- 社名公表
これらのリスクを防ぐために、広告表現の注意書きを準備するとともに、アフィリエイターのサイト内表現のチェック体制を整えるなど、対策を講じましょう。
アフィリエイター側のリスク
健康増進法に触れるコンテンツを作成した場合、アフィリエイターにもリスクが生じます。
健康増進法に触れることは、サイトの閉鎖はまだしも、刑事罰が課せられる場合があります。「知らなかった」からといって、通用する問題ではありません。そういったリスクを回避するためにも、正しい知識を身につけましょう。
以下では、上記のリスクを回避するために、健康増進法に触れるセールスコピーの事例をご紹介します。
健康増進法に触れるセールスコピー事例
健康増進法に触れるセールスコピーは、「事実に相違する表示」を行なっているコンテンツです。
例えば、個人差の出る食品であるのにも関わらず、「食後に〇〇を飲むだけで3キロ痩せる」といった表記は禁止です。
- たった1分続けるだけで〇〇kg痩せる
- サプリを飲むだけで脂肪燃焼!
「痩せる」ということは、一般的に以下の2種類のパターンが想定されます。
- 食事等の摂取カロリーを抑える
- 運動等で摂取カロリーを超えるカロリーを消費する
上記のいずれかの表現で問題ありませんが、サプリを飲むだけで痩せるというのは、明らかに上記に当てはまりません。
こうした特別な効果・効能を示すためには、実際の臨床試験等を行なって効果の実証および公的機関による認証を受ける必要があり、それらの根拠なしに特別な効果・効能を謳うと誇大広告に相当します。
まとめ
アフィリエイターやWebサイトを運営する方も、「食品」や「健康に影響するもの」を表現する場合は正しく、信頼できて、公的な情報に基づいた表現を徹底しましょう。
紹介しようとする商品の効果・効能について、疑問がある場合には、ASPや広告主に効果が実証されたデータの提供や表現可能な範囲について確認しておくと良いでしょう。
また、アフィリエイターが虚偽誇大な表現をした場合も、広告主やASP側も責任を問われます。
広告出稿時に、表現可能な範囲について詳細に示すとともに、アフィリエイターが危険な表現をしていないかを定期的にチェックできるような体制を整えましょう。